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知財のお役立ち情報
 

新規性喪失の例外について

特許を取得するための要件のうち、重要なものとして、いわゆる新規性や進歩性が知られています。
 
このうち、新規性は、大雑把に言えば、既に世の中に知られている発明は特許を取得することができないと言うものです。新規性を満たさず、既に世の中に知られているものは「新規性を喪失した」などの言い方をします。
 
ところで、この新規性の喪失には、一部の例外が認められています。
 
特許を受ける権利を有する者(発明者や出願人)の行為に起因して新規性を失った場合に該当するときは、新規性を失ってから6ヶ月以内に特許出願をすれば、特許を取得できる可能性があります。
 
例えば、特許出願をする前にインターネット上で発明を公開してしまっていても、出願人自らが公開していたのなら、例外を適用できます。
 
これまで、この例外は一部の場合にしか適用されず、厳格な要件を満たさなければなりませんでしたが、平成23年の法改正でかなり適用範囲が広くなり、便利になりました。
 
※平成30年6月9日の法改正により、新規性喪失の例外期間が6ヶ月以内から1年以内に変更になりました。平成30年の法改正後のものについては新規性喪失の例外について(平成30年施行の改正特許法第30条の規定)をご参照ください。

 
 
注意点
この制度は日本の制度・特例ですので、外国には適用できません。したがって、外国出願をお考えの場合は注意が必要です。
 
例えば、欧州は、このような特例がありませんので、基本的には特許がとれません。
この場合、どうするべきでしょうか?一般に新規性を喪失したといっても、喪失したのは特許出願のうちごく一部である場合が非常に多いです。
 
そのため、基本的には、新規性を喪失した部分を除いて欧州出願をするというのが、理論上は適切な手続となります。ただし、一般には日本出願と同様の内容を出願し、適時補正等によって新規性喪失した部分を除去するのも妥当で現実的な対応となるかもしれません。
 
また、PCT出願のように、多数の国を含む場合は、各国毎に取り扱いが異なるので、わざわざ新規性喪失した部分を除去せずに、日本出願と同様の内容をPCT出願し、各国段階でそれぞれ各国の法制に合わせた対応を取るのが一般的です。
 
※なお、米国における新規性喪失の例外については、2013年3月16日施行の米国特許法によって改正されました。
従来はグレースピリオドの規定により、発明者の公開から1年以内に米国に出願手続を行う必要がありました。
これに対して、改正後は、「有効出願日」から過去1年以内の発明者の公開行為によっては、特許を否定されないとの規定に新たになりました。
詳しくは米国における新規性喪失の例外についてのページをご参照ください。
 
もし特許出願をご予定で、すでに発明を公開してしまったかも?と心当たりのあるお客様も、上記のような救済策がありますので、ぜひ一度弊所までご相談ください。